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2018年8月13日 (月)

紺碧の果てを見よ

もう1冊、須賀しのぶが、第二次大戦を書いた小説。執筆は「また、桜の国で」よりも先。これは日本海軍の士官だった男たちの物語です。

何よりも、タイトルが抜群に良い。
そして、そのタイトルの言葉が、物語全編を貫いてゆくさまが、また良い。
須賀しのぶが描く男たちの生き様と散り様は、やっぱり震えるほど美しくて。
主人公の鷹志はもちろんですが、私は江南が好きだったな。あまりにも死亡フラグを完備しすぎているのが、悲しくて愛おしかった。
で、この二人と言えば雪子なんですが。
敢えて言うなら、この物語には、雪子が余計。鷹志と江南、つまり雪子のことを深く愛した二人を並べておいて、こう言うのも何なんですが。
何しろ、存在感が破格なんです。それだけに、基本的には軍人たちの青春劇であり、戦記であるこの物語から、浮いてしまっている感があります。それから、冒頭の幼女・雪子と、女給になった彼女が、いまひとつ、繋がっているように思えない。
あと、私は早苗が割と好きなので、ちょっと反感を抱いているのも否定はしない。
一番引っかかるのは、早苗が自分を「贖罪のかたしろ」と規定してしまった後。そのあと、早苗自身には心の変遷があって、真っ直ぐに鷹志を見るようになる。
ただ、鷹志自身は恐らくその辺の一切合切は無意識なんですよね。早苗の思いはともかく、彼自身が彼女をどう思っていたか、雪子はどうだったのか、つまびらかにはされないんです。彼は彼として、それぞれに真摯に向き合っていたことはわかるとしても。
本筋からは少々外れるその辺りで、少々の引っ掛かりを感じるわけです。
とはいえ、今回もやはり、最初に斜め読みした後、どうしてもと思って、もう一度精読しました。そして最後のページで唇を噛みました。
小説だから、これで終わって、そのあとも何もないんですけど。
でも、鷹志が無事、早苗のところへ帰れましたように、と。
つい、願ってしまっていました。

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