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2014年7月 5日 (土)

ある日、巻き込まれるかもしれないテロと戦争

集団的自衛権があるっていうことは、考えようによっては、こういうことだ、というお話。

因みに私は、下手を打つと10年以内に何某かの紛争に巻き込まれるだろうと思っています。

自国を防衛するのに、一か国で出来る時代ではなくなった。それは本当にその通りです。特に日本のような、地理的にどこから攻撃されるか分からない国は。

非武装中立なんて話は、とりあえず信じないので論外として、武装中立国としてスイスが存在しますが、地理的条件が違い過ぎるんですよね。スイスは内陸国で、フランス、ドイツ、オーストリア、イタリアの四か国に、ぐるりと取り囲まれています。イコール、このどこかの国の領土領空を通過しなければ攻撃出来ません。それから、山脈の配置や風向き等にもよりますが、万が一スイスに核攻撃を仕掛ければ、四つある周辺国に害が及ぶ危険性が拭えません。そしてヨーロッパ人はチェルノブイリの放射性物質が自分たちのところまで飛んできたのを知っているので、その点は恐らく、日本人以上に敏感です。

だからスイスは、国境を接している四か国の動向に気を付けておけば、とりあえずかなり安心なんだろうと思います。

対する日本は、公海を通って領海に入れます。理論上は、誰だって入ってこられるわけです。

そこまでの話はオーバーだとしても、現に地政学上の不安要素だとされる国が、至近距離に二つもあります。ちょっと南に行けば、尖閣諸島だけでなく沙諸島(南だけでなく東西も)など、領有権が問題視されている地域が色々あります。しかも、中東から来る原油はその辺りを通ってきます。

ついでに言うと、日本を潰そうとしたら、海上封鎖が一番簡単です。化石燃料と食糧の供給が絶たれますから。そうすると、電気が止まるのはもちろんですが、ガソリンも無くなりますから流通も壊滅します。電気が止まれば送水設備が動かせないので、もちろん断水です・・・仮にこんなことになったら、さあ何万人死ぬでしょうか。

だから、海路の防衛のために、有効な相手と手を組んでおこう。それは理に叶った判断というか、絶対に必要なことではあるでしょう。

ただ、そこに集団的自衛権を絡めるのは、かなり危険だと思っているわけです。というのは、誰のためにそれを使うことになりそうかと言ったら、唯一の軍事同盟相手である、米軍相手の可能性が最も高いでしょうから。

この20年くらいの間に、米軍がどこに派遣されて何をしていたか。ざっと調べただけでも、常にどこかに行って何かをしているのがわかると思います。

湾岸戦争は90年なので、いきなり20年という括りからは外れますが、一定年齢以上の日本人にとっては、記憶にあるものでしょう。その前、87年にはイラン・イラク戦争にも介入しています。イラク戦争は03年。石油利権が絡んでいるので、アメリカはこの地域に行くのが本当に好きです。

01年の9.11の後にはアフガニスタンに行きました。で、イラクとアフガンには、ほんのちょっと前まで、10年余りも駐留していた。

その他、これはNATO軍の一員としてですが、95年のボスニア・ヘルツェゴビナ内戦に介入していますし、99年のユーゴ空爆にも参加しています。

最近では07年にソマリア内戦に介入した他、11年にリビアのカダフィ政権が倒れた時にも軍事介入しています。

介入という言葉が多く出ましたが、米軍の歴史を調べてみたら、本当にこれが多く出てきたんですよ。つまり、完全なる当事者ではなかった筈のところに出向いて行って、軍事力を使うのが好き。もちろん、米軍が睨みを利かせたことにより、未然に防がれたものもありますが、過去100年間、実によく、色々なところに出張ったのは事実です。

そして今現在、一時期に比べればイランの態度は軟化しているものの、またイラク情勢が混迷を来しています。

財政状況は厳しく、イラクで多くの戦死者を出したために、国民の厭戦気分は未だ強い。そうかもしれませんが、国民のそういう気分と、政府の損得勘定が別ベクトルで動くのは、日本もアメリカもそう変わりは無い筈です。

そして問題の場所はイラクです。30年も前から出入りしてきた、あの場所。そしてまた、何もしないで居たり、大人しくしていたりすると「弱腰外交だ」と非難を受けるのも、アメリカ政府というものです。

別に、そことは限りません。シリアかもしれないし、(個人的には)最悪ウクライナ方面かもしれない。アフリカなら、どこで何が起こっても不思議ではない。ともかく彼らは、また数年のうちに、何処かに軍事介入を試みるでしょう。

でもまあ、石油が出る何処かだろうね、とは思います。日本人が想像する以上に、アメリカは石油利権に過敏です。何しろアメリカの公道では、排気量の少ない車は走れませんからね!環境基準があって、一定の排気量以上の車は走れない、なら分かります。でも、下限を区切るのは意味が分からないと知人のアメリカ人に訊いたら「そんなの石油メジャーの利権を守るために決まってるじゃん」と、凄く事も無げな口調で返されました。

で、その時日本に集団的自衛権があれば「ついて来い」と言うことは間違いないんじゃないでしょうか。その方が、アメリカの自己負担は軽く済むわけだから。

そして、前々から言っていますが、その時日本政府がちゃんと断れるかと言えば、甚だ怪しいものだと、私は思っていますから。それまでに何が起こったかによって、説明が「あの時守って貰ったから」になるか「この先守って貰う予定だから」になるか、その違いだけです。

というか、TPP交渉もそうだけど、アメリカの要請を根本的に断るという選択肢は、そもそもこの国の政府にはありませんから。

だから、必ず巻き込まれます。アメリカが将来起こそうとする、何らかの軍事的アクションに。

或いはそれは、米軍が主になって行われる、国連PKOかもしれません。PKOなら行ったこともあるし、大丈夫・・・そう言い切れるでしょうか。米軍が中軸だったところでは、93年のソマリアがあるんですが、この時は民兵組織から宣戦布告を食らって戦闘に突入し、米軍は17人の死者を出して撤退しています。もちろん、他の国も参加していましたから、米兵だけが戦死したわけではありません。

つまり、そういうことです。後方で補給だけ頼む、とか言われるかもしれませんが、補給線を叩くのは非常に有効な攻撃方法なので、私が敵方なら、寧ろ自衛隊を攻撃するかもしれませんね。

とりもなおさず、軍事行動に一緒について行くっていうのは、そういうことなんですよ。これは、自衛隊の海外派遣で指揮官クラスだった人たちの言葉でもあるけれど、これまでよく死者が出ないで済んできたものだ、と。多分にして運もあったし、憲法の制約上、そもそも参加していないものが色々あったんです。

それだけではありません。

スペインは米軍に同調してイラクに軍隊を派遣していましたが、04年にマドリードの地下手鉄で爆破テロがあり、191人という死者を出しています。アルカイダによる犯行でした。翌05年には、ロンドンでバスが爆破され、50人以上が犠牲になりました。

それは、つまり、そういうこと。もう言わなくても分かりますよね?もちろんこれは、行く先がどの国・地域かにもよりますけど。

それから、一般的に中東は対日感情が良い国だ、という報道がされていることが多いですよね? これは一般メディアの報道のみならず、現地に赴いたジャーナリストやNGOのエイドワーカーもよく口にします。私が直接裏を取ったわけではないので、あまりここを強調するのはどうかと思いますが、とりあえずイラクで「ポケモン」と「キャプテン翼」が放送されていたのは事実です。

そんな彼らの対日感情は、間違いなく悪化しますよね。それはダイレクトに、中東の他国で働く日本人(企業関係、NGO関係など色々居るでしょう)の安全を脅かすことになると思います。アラビア人は義理堅く人情に篤い一方で、とても感情的なものを大切にする人たちだ、と言われています。対日感情という、今一つ得体のしれないものが、案外重要なのではないでしょうか。それから、彼らはイスラム教より前から「目には目を、歯に歯を」の世界で生きてきたので、やられたら、とりあえずやり返してきますよ。

(余談ですが、そのためにコーランには、同害復讐までは可だけれど、許すことはそれ以上に尊いと書かれています)

じゃあ、沙諸島辺りやホルムズ海峡で何かあって、日本が日干しにされちゃったらどうするんだ、という声について。

確かに、そのリスクは少なからずあります。

でも、とりあえず海上封鎖は絶対に無い。

何故なら、その時は一緒に、3万数千人の在日米軍も一緒に封鎖しないといけないから。で、もし彼らに何か仕掛けたら、米軍本体が黙っていないから。

ね、ここに、米軍基地を置いている意味がある。言い方は悪いけど、とても有効な人質を持っているのと同じです。

沙諸島方面で緊張が高まって、一時的に通行不能になることは、確かに有り得ます。ホルムズ海峡は、実際にイランが何度も封鎖を仄めかしたり、イラン・イラク戦争の時にはタンカーに攻撃を加えたりもしています。

安倍首相が言うシーレーンとは、つまりこの話。ホルムズ海峡の奥にあるペルシャ湾には、イランのみならず、イラクやクウェート等の主要な産油国がずらりと並び、石油の積み出し港があります。日本に来る石油の八割は、ここを通ってやってくる。そしてそれらは皆、南沙諸島辺りを通ってくる。

だから、そこが日本の生命線であることは、間違いない事実です。

ただ・・・それで日本が滅びることにはなりません、今のところは。

理由は簡単。それで損をする国の方が多いからです。あと、同じレーンを封鎖すると、韓国が同じ目に遭います。あそこにも資源は無い。で、今や韓国の経済力も、世界的に莫迦にならない規模ですから。二つ足すと、かなりの相乗効果を生み出してくれます。

その二か国より経済規模が小さいギリシャやアルゼンチンで経済危機が起こったと言っては、世界はてんやわんやする。仮に、日本や韓国に石油が供給されなくなって(或いは供給が極端に細って)、経済が大打撃を受ける状況になれば、東南~東アジア全域、アメリカやEU、BRICSの諸国その他、主要なところからそうでないところまで、計り知れない影響が及ぶ筈です。

そうなっては困りますから、関係各国が状況改善に向けて動き出す筈です。

或いは、イランがホルムズ海峡を封鎖したと宣言します。そうすると、中東各国の石油輸出が止まることになる。彼らはイランに対して怒りを向け、長期化すれば間違いなく爆発炎上、誰かが封鎖を強行突破して、中東戦争など勃発するかもしれません。

・・・それで、イランに何の得があるのか、という問題です。だから彼らは、カードとしてはそういうものを持っているし、一時的に使おうとはするでしょう。でも、長期的に封鎖したままは有り得ない。

もちろん、それが一週間でも一か月でも、日本にとっては重大事だから、それが起きないように、危機意識を持って備えることが、まず求められます。

でも、恐らく、それで死にはしない。

だったら、集団的自衛権なんてものを引っ張り出して、そんな危ないものを、あんな信用出来ない政府に委ねて、そのままテロや紛争に巻き込まれるよりもマシ。

そして、引き続き世界各国に「日本が倒れると困るから」と言われる影響力をキープ出来るように動いた方がいい。これだって立派に国防です。

なるべく理詰めで考えてみましたが、結局のところこういう価値判断になりました。

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