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2009年7月21日 (火)

バグダードは燃えているか・2

リバーベンドはサダム・フセインに対して多くを語りません。それは、在バグダードであった以上、ある程度やむをえないことかもしれない。自国を、ある意味では破滅に招いた指導者について、多くを語りたくないのかもしれないし、そのことに関連して、何らかの身の危険を感じていた可能性もあるでしょう。それはいい。

彼女が多くの言を費やしていたのは、多くが亡命イラク人からなっていた、暫定政府、そしてその後の正式な政府のこと、そして憲法のこと。要するに、支持しない、イラクを率いる資格が無い、ということ。

日本を引き合いに出してみましょう。第二次大戦後、戦後の復興という段階になった時、それを実行した人間は、戦時中どこに居ましたか?

答えは、日本だと思うんです。その時の日本には、現在のイラクとはまた別の事情があったでしょうが、とにかく誰も、一番危険な時に安全な外国に逃げていて、危険が去ってから戻ってきた、という人は居なかったでしょう。仮にそんな人間が居たとして、政府の首班になった時に、果たして人はついていくのか?

答えは、否だと思うんですよね。

確かに、サダム・フセインのような独裁者に反抗したために、国に居られなくなり亡命した、という人は居るでしょう。或いは、悪化する国内情勢に耐えかねて国外に出た人が。リバーベンド自身とその家族も、結論から言うと、安全のためにイラクを出ることになりました。

でも、大多数の国民は、そんなことも出来ず、爆撃されても、停電と断水の中でも、負傷して治療のあても無くても、テロが横行しようとも――耐えなければいけなかったわけです。

そんな大多数の国民にしかわからない事情があり、同じ苦難を味わったからこその連帯感もあると思う。

別の例を挙げますと、ビルマ(日本ではミャンマーと呼ばれていますが、これは軍事政権がつけた国名です)の民主化指導者アウン・サン・スー・チー女史があれほど支持される理由のひとつに、祖国を離れない、ということがあると思うんです。例えば彼女が、夫君の母国であるイギリスであれを言っていたら、国民は、ここに居ない人間が何を、と思うのではないでしょうか。でも実際の彼女は、夫君の死に目にさえ、国を離れようとしなかった。

それと同じことが、イラクにも言えるのではないでしょうか。最も辛くて厳しい時期に国を離れていた人間が、果たして国民の支持を得て国を復興していくことが出来るのか、その資格があるのか。まして、占領軍であるアメリカの操り人形としてそこに居るのに。私もそう思う。確かに、国の外からしか見えないもの、国を出ていたから言えることもあるでしょうが、彼らはあくまでアドバイザーに留まるべきではないでしょうか。

復興をイラク人の手に。軍隊を派遣するなら国連主導の部隊を。リバーベンドの主張はこうです。

彼女の言葉の端々からは、イラク人であることへの強い自負が感じられます。イラクには人材が居るのだから、勝手に政権を押し付けてくれなくても結構。問題は、治安の悪化や宗教的な反動の影響で、それらの人々が国に居られなくなりつつあること。イラクの復興に、利権目当てのアメリカ企業をつれて来るな、イラクにも企業はあり、現に湾岸戦争後は、誰の協力も得ずに復興した。イラク人の意に叶うものはイラク人にしか造れない、何故ならイラク人の美意識はとても高いから。

そして彼女は、憲法を巡る選挙、そして憲法の条文にも、もちろん意見を述べています。

まず憲法については、お話にならない条文が多々あって、到底受け入れられるものではない、と。

例えば「イラクには外国の軍隊を駐留させない」という条文があるのだそうですが(!)、ちゃんと保留がついていて、例外扱いが出来るんですよね。果たしてこれが、主権国家の憲法でしょうか?そんな莫迦な。

その憲法を巡る選挙には――治安があまりにも悪すぎて、到底投票に出かけられる状況に無い、とのことでした。

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