« 読んでも楽しくない話が続きます | トップページ | ドリームキャスト »

2006年8月22日 (火)

妄想バレエ劇場

発端は、この春から怪我で来日を二度もキャンセルしてくれちゃった、我が最愛のバレエダンサー氏に、「彼のための作品」があるといいなと思ったのです。で、ぼーっと考えてたら面白くて、止まらなくなっちゃって。

原案はトルストイの大河小説「戦争と平和」。ひたすら長い作品なので、切り落としてまとめてたら、まったくの別物と化しました。

キャスト

アンドレイ公爵:アンドレイ・ウヴァーロフ  ナターシャ:ニーナ・アナニアシヴィリ

ピエール:アレクセイ・ファジェーチェフ  ソーニャ:ネリ・コバヒゼ

エレン:エカテリーナ・シプリナ  アナトリー:アレクサンドル・ヴォルチコフ

クトゥーゾフ将軍:ドミトリー・ベロゴロフツェフ  ナポレオン:ウィルフリード・ロモリ(特別出演)  

スフィンクス:イルゼ・リエパ

第一幕

 アンドレイのモノローグ「永遠の空」。空を仰ぐアンドレイ。その青色には、人間の小ささと虚しさ、悲しみ、彼が犯した過ちが映っている。そのことが、彼を厭世的にし、幸福から遠ざけていた。

 モノローグを断ち切るように、ナターシャとソーニャが駆けて来る。アンドレイに気付かないまま、笑いさんざめき、はしゃぐ二人。二人にとって世界は魔法の王国で、空さえ飛べそうな気がする。そんな二人を見つめるうち、アンドレイの胸にも、僅かながら幸福の予感が芽生える。

 ペテルブルクの舞踏会。華やかなコール・ド・バレエに続いてナターシャとソーニャが入場、はしゃぎまわる。そこにエレンとピエール、アナトリーがやってくる。エレンのソロ。人々はエレンの美しさに心を奪われ、ナターシャとソーニャも息を呑む。ナターシャに挨拶をするピエール。アナトリーはナターシャに興味を示すが、エレンに制止される。遅れてアンドレイもやって来る。ピエールはアンドレイに、部屋の向こうに居るナターシャを示し、踊ってやってくれないか、と頼む。

 ワルツが始まるが、誰もナターシャの手を取ってくれない。踊りの輪からはじき出されて途方に暮れるナターシャのところにアンドレイが現れ、ワルツに誘う。二人は恋に落ち、パ・ド・ドゥを踊る。

 しかし、アンドレイの父ボルコンスキー老公爵が現れて、アンドレイに外国行きを命じる。引き離される二人。ナターシャは途方に暮れるが、老公爵が立ちはだかる。

 エレンのサロン。アナトリーたち酔っ払いの踊り。そこにナターシャがやってくる。場違いなところに来たようでおずおずする彼女に、エレンは優しく声をかける。ほっとするナターシャ。そこにアナトリーが近寄って、彼女を口説き始める。エレンも二人をあおる。ナターシャ、エレン、アナトリーのパ・ド・トロワ。最初は抵抗するナターシャだが、二人に翻弄されるうちに、熱にうかされたようになって、アナトリーにもたれかかる。心配したピエールがやってくるが、入れ違いでナターシャは帰ってしまう。彼女は二人の口車に乗せられて、アンドレイを捨て、アナトリーと駆け落ちをする積りだった。しかし、アナトリーにとってナターシャのことはあくまでも遊び。彼は既婚者なのだ。ことの次第を知ったピエールは激怒し、アナトリーとエレンを追放する。

 ナターシャの部屋。駆け落ちの準備をするナターシャを、ソーニャが止める。喧嘩になる二人。そこにナターシャの親族アフロシーモワ夫人が現れ、ナターシャを厳しく叱る。夫人から、自分がアナトリーに騙されているだけだと教えられて絶望し、崩れ落ちるナターシャ。夫人は罰としてナターシャを閉じ込める。そこにピエールがやってきて、ナターシャを慰める。やっと心を開くナターシャ。ナターシャはピエールに、アンドレイに詫びて欲しいと告げる。いつでも力になろうと約束するピエール。実は彼はナターシャを愛しているのだが、彼女は親友アンドレイの婚約者だ。決して報われないけれど、二人のために力を尽くそうと誓うピエール(ピエールのモノローグ)。

第二幕

 一方アンドレイは戦場に居た。人の口に戸は立てられず、ナターシャの背信は彼の耳にも届いていた。愛の深さゆえに、裏切られた痛みも深い。アンドレイの見上げる先には、また「永遠の空」が広がり、果てしない空虚を見せ付ける。それはまるで、アンドレイの心の中のようだ(アンドレイのモノローグ)。けれども彼の周囲は、ナポレオンの襲来に備えて慌しくなっている。クトゥーゾフ将軍はアンドレイに司令部付の将校になって欲しいと依頼するが、アンドレイは前線行きを志願。部隊の兵たちは興奮してアンドレイを迎える。農民たちも、祖国のために立ち上がることを誓い、結束を強めている。兵士の踊りと農民の踊り。

 そこにピエールが現れ、ナターシャのことを話そうとするが、切り出せない。ピエールはアンドレイが死を覚悟していることを悟り、彼の無事を祈りながらも、何も出来ないまま戦場を後にする。アンドレイは前線へ。

 戦場のもう一方では、フランス軍が皇帝ナポレオンを迎えていた。士気を高揚させるフランス軍に、ナポレオンは戦闘開始を命じる。入り乱れるフランス兵とロシア兵。

 一方、クトゥーゾフ以下司令部には、苦しい命題がつきつけられていた。このままの陣地を死守するのか、それとも後退して戦力を整え、起死回生を測るのか。だが後退した場合、母なる都モスクワはナポレオンの手に渡ってしまう。クトゥーゾフの苦悩のモノローグ。しかしクトゥーゾフは、とうとうモスクワを放棄する決断を下し、苦しみを抱えたまま、後退を命ずる。

 一方の最前線では、ロシア軍とフランス軍の死闘が繰り広げられていた。形勢はフランス有利で、ナポレオンのもとには次々とロシアの部隊を撃破した報告が入る。しかし、死を恐れて逃亡してくる兵の姿も。ナポレオンは再度の総攻撃を命じるが、勝利を確信しきれない。

 アンドレイとその配下の部隊は、激戦の最中に取り残されていた。ロシア軍は勇敢に戦っているが、本隊は既に後退を始めており、戦局は悪化する一方。アンドレイも既に死を覚悟している。その時、背後から忍び寄ったフランス兵の銃剣がアンドレイを突き刺す。致命傷を負い、あおのいたアンドレイの視界に、再び永遠の空が広がる。今までは、ひたすら空虚だったその空が、不思議な優しさをたたえて見える。その向こうにはナターシャの面影も。この瞬間、アンドレイは始めて、自分の人生を愛おしいと思うが、そのまま意識を失ってしまう。

第三幕

 フランス軍占領下のモスクワ。フランス兵たちが我が物顔に歩き回り、母なる都の民衆を弾圧している。しかし、実はフランス兵も気が気ではない。反フランス派がモスクワごとフランス軍を焼き払う、という噂があるのだ。ピエールは、祖国のためにナポレオンを暗殺しようと歩いていたところを、フランス兵に捕縛され、暴行を受ける。そこに雪崩れ込むモスクワの民衆。やがて、どこからともなく火の手があがり、モスクワは炎に包まれる。焼け落ちるモスクワを闇が包むが、幾つもの火種が消えないで残る。それは、モスクワの民衆一人一人が手にした、復讐の炎だった。民衆の踊り。闇の中、小さな火を手にした人々は、祖国への想いを噛み締め、フランス軍への復讐を誓う。

 モスクワ郊外の農村。助け出されたアンドレイだが、傷は重く、明日の命も覚束ないまま眠っている。そんなアンドレイに悪夢が訪れ、スフィンクスが彼に、人生の意味を問いかける。アンドレイとスフィンクスのアダージョ。すこし遅れて、話を聞いたナターシャが訪ねて来て、アダージョはパ・ド・トロワに。しかし、ナターシャとアンドレイの間にはスフィンクスが入り、二人は顔を合わせることはない。アンドレイはスフィンクスに、「永遠の空」が見せた空虚を語る。その空虚をナターシャが癒してくれたことも。その愛の大きさ、深さゆえに、裏切られた痛みがあまりに深かったことも。そして、今も変わらぬ想いでナターシャを愛していることも。今やっと、人生を愛し始めたことも。

 スフィンクスは消え去り、ナターシャとアンドレイは再び出会う。最後のパ・ド・ドゥ。ナターシャはアンドレイに背信を詫び、アンドレイはそれを許す。再び愛を誓う二人だが、ナターシャは最早、アンドレイが助からないことを感じていた。それでも二人は、幾つもの幸せな約束を重ね、アンドレイは人生で始めての、満ち足りた幸福を味わう。やがて二人の上に「永遠の空」が広がり、アンドレイの苦しみを優しく包み込む。微笑を浮かべてこときれるアンドレイ。ナターシャはその上に泣き崩れる。やがて空は閉ざされ、雪が降り始める。

 雪のスモレンスク街道。フランス軍がピエールらを連行して行軍しているが、モスクワから焼け出されて十分な物資も無い彼らを、冬将軍が容赦なく攻め立てる。ナポレオンは彼らを叱咤するが、何の効果も成さない。そこに、武器を取った農民たちが襲い掛かる。続いて、火種を持ったモスクワの民衆、クトゥーゾフ将軍に率いられたロシアの正規軍も。フランス軍は撃退され、祖国を取り戻した人々は、ロシアの栄光を讃える。ピエールも一命を取り留めた。そこにナターシャが駆けつけ、二人は手を取り合う。

 やがて、舞台から人々は消え去り、永遠の空だけが広がる。そこに、アンドレイの遺児ニコールシカが駆けてくる。空を見上げるニコールシカ。そこには空虚は無く、父のような優しさがある。ナターシャとピエールがニコールシカを追いかけてくる。三人は手を取り合い、永遠の空を見上げる。

 …おお、凄い甘い。この作品は、一応オペラを観て、小説も読んで、「やっぱりアンドレイとナターシャの話でまとめよう」と思ったのでした。というわけで、オペラ版と同じく、ナターシャの兄ニコライとソーニャ、アンドレイの妹マリアの物語は全カットさせていただきました。本当はこれ、こんなに大甘い話じゃないんですが、バレエとして綺麗に纏めようとすると、自然とこうなってしまいました。冒頭のナターシャとソーニャのデュエットとか、ペテルブルグの舞踏会とか、踊りの見せ場は作りやすかったんですけど…あ、出来ればアンドレイとナターシャの最後のパ・ド・ドゥは「逆・沼地」な感じで。というか、スフィンクスから続くシーンは、本当に観てみたい…

 ちなみにキャスティングについてですが、ソーニャ=コバヒゼは、単にヒイキで。あとピエールは、「三人姉妹」のクルィギン程度に動ければいいです。原作にばっちり「太い」って書いてあるし。ニーナとの関係も考えると、やはりファジェーチェフかなと。スフィンクス(唐突というなかれ、本当に原作に出るのだ)は、「スペードの女王」の印象が強くて、リエパに。エレン&アナトリーは若手でいこう、というだけの話(殴) 肝心の主役カップルですか?趣味ですよ、趣味!

あ、そうそう、大事なことを。最後に出てくるアンドレイの子供ですが、ナターシャではなくて、物語開始前(原作では序盤)に死別する前妻の子供です。彼は設定上、31歳ですからね。ちなみにナターシャは最後、何気にピエールと結ばれます。

« 読んでも楽しくない話が続きます | トップページ | ドリームキャスト »

バレエ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/51620/3173061

この記事へのトラックバック一覧です: 妄想バレエ劇場:

» 今井美樹、徳永英明、絢香が紅白初出場 [瞬★旬!キーワード〜このヒトだあれ?]
大みそかの12月31日に放送される「第57回NHK紅白歌合戦」(後7・20〜11・45)の出場者が29日、同局から発表される。 今年の目玉として今井美樹と徳永英明が初出場。 ほかに、今年2月発売のデビュー曲「I believe」で30万枚のヒットを記録した新人の絢香やアンジェラ・アキ、シーモ、mihimaru GT、Aqua Timezらも初出場組に顔をそろえる。 ... [続きを読む]

« 読んでも楽しくない話が続きます | トップページ | ドリームキャスト »

2018年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

最近のトラックバック

無料ブログはココログ